一昔前、税理士という職業は、安定的で高収入な職業というイメージがありました。難しい試験をパスして独立すれば、ある程度の高収入が保証されている、そんなイメージの職業だったのです。でもそれも今は昔。最近では、税理士業界は厳しい生存競争の時代に突入しています。
右記は税理士の登録者数の推移です。昔に比べると、ずいぶんと税理士の登録者数が増えているのがおわかりいただけると思います。
一方、国内企業数は1996年をピークに企業数が減り続けています。直近の会社数がどれくらいか、正確な数字はわかりません。ですが、この15年で、税理士の登録者は大幅に増加し、かたや企業数は減少しているのです。当然、税理士1人あたりの企業数は減少します。
企業数を単純に税理士登録者数で割ると、こうなります。
1996年 : 26.8社(1,674,465社 ÷ 62,550人)
2011年 : 19.1社(1,400,000社 ÷ 73,180)
税理士の人数が増えて、企業数が減っているわけですから、少ないパイを皆で取り合う図式になっているのです。
さて、こうした厳しい競争環境の中、開業税理士の年収はどれ位なのでしょう。
日本税理士連合会が2004年に実施したアンケート結果では、一般に開業税理士の平均年収は3,000万円前後と言われています。
しかし、税理士になれば誰しもがその額を簡単に得られるわけではないことがわかります。
1億円以上の所得を上げている所は、従業員を数十人抱えている非常に大きな事務所です。
小さな事務所でどれくらいの年収を得られるかと考える場合はこのような層は除外して考えた方がいいでしょう。
表を見ると、例えば所得が「300万円未満」の税理士が4分の1を占めています。2004年でこの数字ですから、今ではもっと下がっているのではないでしょうか。
所得が「300万円未満」の方は、特に顧客確保の段階で苦労されているようです。
集客や顧客獲得についてきちんと努力をしないと、思ったような年収は得られないというのが開業税理士の現実なのです。
開業税理士として、必ずしも年収が高ければそれで良い、というわけではないと思います。ただ、年収が高い = 多くの顧問先に支持してもらっている、という風に考えるのなら、なるべく多くのお客様を開拓することが、税理士として求められているではないでしょうか。
そう考えた場合、独立開業後、税理士として必ず必要になるのは営業スキルということになります。この営業スキルがあれば、顧問先を順調に獲得し、事務所の経営は安定します。でも営業スキルがないと独立前の年収を大幅に割り込んだわずかな売上で我慢するしかありません。
つまり、勝ち組税理士になるために一番重要なのは、「営業」ができるかどうかなのです。
それでは次のページで、勝ち組税理士になるために必要な「営業」についてお話ししていきたいと思います。